ええカッコしたくて、いうわけじゃない。ある年代になると、「本物へのこだわり」が強くなる。
「商い」は利潤追求が原点ではあるけれど、正直それだけでは続っきこない。仕事の成果は、いつもお客さんの顔にあったし、今でもそうだ。仕事終わって、お客さんの満足そうな顔を見た日のビールほど美味いものはない。
畳屋稼業25年、夢中で突っ走って来た。畳なんぞ、どれでも同じに見えるかもしれないが、実は違う。その違い説明すると明日までかかっちまうから省くけど、今、当店では「さらり畳」というのをお客さんに勧めている。お茶の伊藤園と畳商社北一商店が共同開発したものだが、かなりのスグレモノだ。
昔、畳を掃除するのに茶殻をまいた。茶殻に消臭・抗菌作用かあるのを昔の人は知ってたんだね。日本人の知恵は凄いよね。その知恵を借りて、茶配合ボードを畳床に採用したのが「さらり畳」なんだ。茶殻のリサイクルという環境への配慮も気に入った。
確かにこれまでの畳より価格は高いけど、これだったらお客さんに大いばりで勧められるって自信もったんだ。最近の住居に和室が少なくなったけど、それだからこそ、せめて畳ぐらいは「いいものにしなよ」って。お陰で、お客さんには気に入ってもらっている。
当店でも、仕事のたびに出る畳クズ、これなんとかリサイクルできないものか。熊本の業者に相談して和紙などの再生を試みてるんだ。さんざん甘えてきた地球に何かできないかって。まぁ、街の畳屋ができることなんて、しれてるんだけど…。